Track03 麗しき城を見上げて

ハイドフェルド城*1は大河ヴェンドリンの中洲に建てられた白く美しい国の象徴であった。

クレンペラー12世は伝説的な軍師バイエルを呼んだが、
代わりにやってきたのは美しくも可憐な17歳の少女であった。

少女は軍師バイエルの弟子である。
国王の求めたバイエルは既に亡くなり、残された弟子である彼女が師匠の死を告げに参上したのだ。

バイエル最後の弟子の名はジョアン・ファレッタ*2

頭脳明晰にして、相手の心を読む天才である彼女は、
クレンペラー12世の眼前で戦況を瞬時に判断し助言をしたが、
それは周囲の重臣達も驚くほど的確な分析であった。

国王はファレッタの才覚に驚き、バイエルに代わって軍師就任を打診*3する。

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注釈

  1. クレンペラー6世がその生涯をかけて建設したと言われる巨大な城。大河の中州の森にたたずむ姿は、大陸一の美城と誉れ高かった。クレンペラー12世の時代には、改修と増設が繰り返され、まるで迷路のようであったという記録が残っている。
  2. 正式にはジョアン・ファレッタ・オールソップ。当時17歳。心理戦の天才と呼ばれ、数々の奇策を用いて連戦連勝したハイドフェルド王国の軍人。趣味のカードゲームでも、側近や軍人相手では全く相手にならなかったと記録に残っている。なぜか暗算や計算が苦手で、数字には滅法弱かった。芋のミルクシチューが好物。特に香辛料を混ぜて辛くするとよく食べた。鼠が出るとその部屋には二度と戻ってこなかった。酒は全く呑めないが、宴会では得意の歌を披露しており、その歌声はハイドフェルド軍では有名だった。また、慢性的な頭痛に悩まされていたという。これらの記録については、複数の出典・資料で確認されている。生い立ちについては謎の部分が多く、師匠バイエルといつ出会ったかなどについては全く記録がない。現在でも盛んに研究されている歴史上の人物である。
  3. 即断であったかどうかは定かではないが、クレンペラー12世の示した唯一の「名判断」だと言われている。