Track05 立ちはだかる敵は総て退けよ

ハイドフェルド王国の西側にあるハミルトン連邦*1は、
痩せた土地に多くの民がひしめく貧しい国であった。

二国の国境となるコバライネ山脈*2では銀が採掘されることで有名であったが、
この銀山はハイドフェルド側にあり、採掘権をハミルトン連邦は持っていなかった。
この付近を巡り、二国は数百年の間睨みあい、時には小競り合いにまで発展していた。

「ハノンの乱」の一ヶ月後、事態は急変する。
睨みあいの中、ハミルトン連邦の軍事基地に火の手が上がった。
ハイドフェルド側の強襲と判断した連邦は、その三日後にコバライネ山脈の東側、
すなわちハイドフェルド王国領内に侵攻を開始する。

しかし、その動きを察知していた*3ファレッタは、すでに銀山付近の王国軍に合流していた。

背に羽を生やして自在に空を飛ぶ、山岳鳥人族と密かに手を組んでいたファレッタは、
足場の悪い山岳地帯での戦闘を空中からの猛攻*4でほぼ殲滅に近い状態に追い込んだ。

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注釈

  1. 大陸西方は領邦や自由都市が群立し、大きな国家として存在していなかった。これらの小さな権力体が紛争を繰り返していたが、聖職者を中心として年に一回の紛争を治めることを目的とした議会が提案され、それが元になって連邦国家が成立した。北西の小さな島ハミルトン島が最初の会議の開催地であったことから、島の名がそのまま連邦の名称になったことは有名である。
  2. 大陸西方に位置する縦に長い山脈で、東のハイドフェルド王国と西のハミルトン連邦を隔てている。良質の銀が採掘されることで知られていた。現在では掘りつくされており、残された無数の穴だけが当時の活況を静かに物語っている。
  3. ハミルトンの前線に火をかけたのは、ファレッタの策の一つではなかったかという説があるが、それを示す資料は未だ発見されていない。逆に、ハミルトン連邦軍が「銀山奪取の口実」として自演したという説もある。
  4. 鳥人族は高い山岳の中腹付近に住む少数部族で、姿かたちは人間とほぼ同じだが、体重が軽いことと、羽が生えていることが特徴である。空を飛ぶこともできた。人間嫌いであるはずの彼らを陣営に引き入れたファレッタの説得方法には諸説あるが、人間しかいない騎士隊に鳥人族の有力者を隊長として指揮させたことは事実であり、このことが誇り高い鳥人族に協力を取り付ける大きな材料になった。