Track07 穏やかな城下町

王国軍のアドルファ騎士隊を指揮するルイーゼ・アドルファ*1は、
クレンペラー12世の実の娘である。
ルイーゼは、突然どこからともなくやってきて伝統ある王国軍に指示を出す同年代の少女に苛立ちを隠せなかった。

剣技や乗馬に優れた才覚を見せたルイーゼと、馬にも乗れず、
肌は真っ白でカードゲームやチェスばかりが得意なファレッタはまさに水と油であった。

ある日、ルイーゼは父にファレッタを軍から追放するように直訴*2する。
ファレッタを失いたくはないが、溺愛する一人娘のルイーゼの言葉を無視するわけにもいかない国王は、
苦悩した末に、ある賭けを持ち出す。

アドルファ騎士隊の隊員のうち、一人だけルイーゼよりも腕が立つ騎士がいることを
知っていたクレンペラー12世は、隊員数名の中から、ファレッタが見ただけで誰がルイーゼより
強いのか指名することができなければ、軍師の職を解くことにすると約束してしまう。
この賭けをルイーゼは喜んで承諾する。

城下町広場の聴衆の面前で、この賭けは実行された。
十名の男のうち、一人だけを観察しただけで選ばなくてはならないファレッタであったが、
なんと彼女はその騎士を当てただけではなく、ルイーゼが密かに思いを寄せていた騎士団員すら的中させてしまう*3

この件で大いに恥をかくことになったルイーゼだったが、ファレッタの能力を認め、、
以降ファレッタとの仲は改善していくようになる。

     iTunes

注釈

  1. ルイーゼ・アドルファ・クレンペラー。クレンペラー12世唯一の女児。幼い頃から剣を持って育ち、女性にしては大柄な身体を生かして戦ったとされている。17歳にして騎士隊を任されるようになり、戦乱当初はファレッタと反目していたという記録が残っている。同世代のファレッタとはよく比較されるが、全く逆の性質を持っており、猪突猛進、あらゆる生物に対してまるで恐れ知らずであったとの記録がある。誰よりもハイドフェルドを愛し、自ら「ハイドフェルドの剣」を名乗って兵士、そして国の民を導いた。「ハノンの乱」「バトン攻防戦」のいずれも別の戦場へ出ていたために参加していなかった。
  2. 直訴と言っても、父親に駄々をこねる娘だったというだけの話である。
  3. このときにファレッタが的中させたルイーゼの想い人の名は資料に残っていない。恐れ多くて記録係が書き記せなかったためと言われているが、後に記録からルイーゼが消させたという伝説も残っている。後世の創作家の想像力を駆り立てる有名なエピソードだ。