Track16 見よ、勝利は目前だ

策略の炎が張子の帝都を燃やし尽くす頃、
数マイル離れた小さな村に潜伏していた皇国軍の本体が動き出した。
王国軍の残党の血を、残らず砂漠に吸わせるためである。

史上最大の奇策が成功し、戦況は大きくヒュルケンベルグ皇国に傾いたかに思えたが、
ファレッタは最後にもう一つの奥の手を残していた。
北東より、王国軍への援軍が到着したのだ。
クレシ・クセンの率いる遊牧民族の騎馬隊だった*1

この援軍は、ファレッタが事前にクレシ・クセンに要請していたものだったが、
数人の騎士隊長以外は誰も知らなかった。
裏切りのライムンド・ゼルには教えていなかった為、
皇帝ヒュルケンベルグにとっても全く意表を付かれた形になった。

遊牧民の軍勢は外側から帝都の門を開け、王国軍を助け出した。
皇国軍とも交戦状態になったが、全く想定外の事態に皇帝ヒュルケンベルグは
まともな指揮ができなかったと伝えられている。

王国軍兵士と遊牧民族の連合軍は、怒りを持って皇国軍本体と戦い、
死闘の末に連合軍が勝利を収めた*2

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注釈

  1. クレシ・クセンはファレッタと王国軍が侵略されたにも関わらず、遊牧民の兵を戦闘終結後に一人も殺害しなかったことに大変な恩義を感じていた。加えて、このヒュルケンベルグ皇国攻めの援軍を引き受けた場合にはヒュルケンベルグ皇国領土の共同統治を提案されていた。この二つの要因で、クレシ・クセンは援軍を決意している。これはファレッタの発案で、国王にすら相談した形跡はなかった。
  2. この戦闘は、ヒュルケンベルグが動揺して指揮ができなかった為、テンシュタットという皇帝の側近が指揮をしていた。このとき、ライムンド・ゼルもテンシュタットを補佐している。王国軍側もファレッタが井戸の中で隠れていたまま不在の状況だったため、代わりにルイーゼ・アドルファが全体の指示を出した。そのためか、単調に正面からぶつかるだけの戦いになり、数で上回った連合軍が有利だった。