Track17 ただ、愛と哀しみ

まだ連合軍と皇国軍が激しく争っている頃、ファレッタは井戸から先に延びている地下の坑道を発見していた。

坑道内は街に繋がっており、ファレッタは地下都市の住民に捕らえられる。
まさか二十歳に満たない少女が敵国の軍師であるとは思いもしなかった住民らは、
褒章欲しさに地下都市の詰め所にファレッタを突き出す。
詰め所の官憲は、やはり手柄欲しさに皇国府*1に彼女を連れて行った。

皇国軍が敗れ去り、ヒュルケンベルグが打ちひしがれて皇国府に戻った。
逃げたヒュルケンベルグは王国軍に追尾*2されており、
地下の皇国府の存在がすぐに王国軍に知られることになる。
このとき、ファレッタ不在の後を受けて王国軍を動かしていたルイーゼ・アドルファは、
すぐさま地下都市への攻撃を命じた。

皇国府には多くの王国兵が押し寄せ、皇国要人を次々と捕らえていった。
尚も逃げるヒュルケンベルグは、最深部の牢獄に到着した。
そこで、投獄されていたファレッタと遭遇する。

互いに互いを一目で確認した。
ヒュルケンベルグは、かつてバイエルの元で共に学んだ優しき兄弟子*3だったからである。
彼はバイエルの修行を終えた後、ヒュルケンベルグと名を変えて大陸南方の非文明地に、
自らを頂点とする一代皇国を作り上げたことを語った。
そして夢に描いていた大陸統一へ乗り出したのだった。
ファレッタは優しかった兄弟子の夢を知らずに潰していたことを知る*4

ヒュルケンベルグはファレッタを牢から出し、自らについてくるよう促した。

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注釈

  1. 地下都市スーティルの一番奥に建設された皇国府も、当然地下にあった。隠し通路が複数存在し、直接地上に出ることができた。
  2. 追尾していたのは、ヴェネッサ・メイ騎士隊である。
  3. 20歳まで、バイエルの元で学んでいた頃のヒュルケンベルグは別の名を持っていたが、その名は諸説あり定かではない。そのため、ここで書き記すことは控える。その頃、ファレッタは7歳である。「幼いファレッタのほうが賢く、将来自分以上の戦術家になることを見抜いてバイエルの元を去った」との伝説があるが、これは後世の推測の域を出ないだろう。
  4. 現存するルイーゼの日記によれば、「自分には兄弟子がいて、彼を本当に慕っていた」と彼女に話をしている。